柴崎岳選手情報の異様な空気 海外組デビュー日数からみる適応能力と不安障害の理由

      2017/03/20

スペイン2部リーグテネリフェに移籍した柴崎岳選手の「胃腸炎」「適応障害」「デビュー予定」など様々な情報が飛び交っています。先日やっとチームへ再合流できたようですが何か不穏な空気、あまりよくない雰囲気を感じます。

「日本での実績」「CWCでの活躍」「まだ実践で実力を見てみないと分からない」というものが前提にあるため表向きは応援する姿勢の情報が多いのですが、「と言っても何かおかしい」と感じる人も多く注目度が普通の日本人サッカー選手のものと違った異様な雰囲気を醸し出しています。

では、今現在海外で活躍している他の日本人選手はどうだったのでしょうか?チーム合流から公式戦デビューまでどれぐらい時間がかかったのか見てみましょう。

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日本人サッカー選手 海外初挑戦デビューデータ

選手名初海外所属クラブ渡欧日公式戦初出場出場までの期間
本田圭佑VVVフェンロ2008年1月3日2008年1月20日17日
香川真司ドルトムント2010年7月10日2010年8月22日43日
長友佑都チェゼーナ2010年7月12日2010年8月28日47日
岡崎慎司シュツットガルト2011年2月4日2011年2月17日13日
内田篤人シャルケ2010年7月12日2010年8月21日40日
長谷部誠ヴォルフスブルク2008年1月16日2008年2月3日18日
大迫勇也1860ミュンヘン2014年1月6日2014年2月10日35日
武藤嘉紀マインツ2015年7月7日2015年8月9日33日
酒井高徳シュツットガルト2012年1月1日2012年2月11日42日
酒井宏樹ハノーファー2012年7月2日2012年8月23日52日
吉田麻也VVVフェンロ2010年1月7日(?)2010年10月30296日
乾貴士ボーフム2011年8月1日2011年8月12日11日
川島永嗣リールセSK2010年7月7日2010年7月17日10日
原口元気ヘルタ・ベルリン2014年6月27日2014年8月16日50日
ハーフナー・マイクフィテッセ2012年1月2日2012年1月22日20日
宇佐美貴史バイエルン・ミュンヘン2011年7月14日2011年07月20日6日
南野拓実レッドブル・ザルツブルク2015年1月6日2015年2月14日39日
久保裕也BSCヤングボーイズ2013年7月1日2013年7月13日12日
小林祐希ヘーレンフェーン2016年8月15日2016年9月10日26日
柴崎岳テネリフェ2017年1月31日2017年3月19日47日

現役サッカー選手の現地入りしてから公式戦デビューまでの日数をまとめた表です。

  • 契約が交わされた日、発表された日
  • 日本(Jリーグ、代表戦)でのスケジュール
  • 加入が夏or冬どちらか
  • 怪我をしたかどうか
  • 戦力と見なされているか

以上の条件があるため適応能力と一概には言えませんが、公式戦デビューまでは一ヶ月前後が平均的です。

この中で例外があるとすれば、移籍時にシュツットガルトと清水エスパルスがクラブ間で契約の内容で揉めた岡崎選手と、仮契約中にオランダで怪我を負った吉田麻也選手ぐらいで基本的には皆「最低でも一回目の公式戦出場のチャンス」が貰えるわけです。

柴崎選手に関して言えば、契約期間が半年なのにも関わらず公式戦デビューはおろかやっと練習に参加出来た段階なのでスタートダッシュに失敗した感は否めません。

海外生活に何故適応出来ないのか?

「チームに適応」という話であれば、人格的にコミュニケーション能力に優れる長友選手や長谷部選手、人なつっこいいじられキャラの岡崎選手、言語能力にすぐれる川島選手やハーフナーマイク選手、と様々なアプローチでチームにとけ込む事は出来るでしょう。

柴崎選手はチームに適応できるかどうかはではなく、それ以前の「海外生活、海外リーグでプレーする」というところから順応に苦しんでいるという情報が流れている状況。

海外での食生活

理由の一つ目に「食中毒」「胃腸炎」などの情報が流れました。昔のように海外旅行が高額ではなくなり、一般の人でも気軽に海外に出て行く機会が増える今の世の中で、食生活で気をつけるのは最低限誰でも考える事です。

「旅行中や出張中に体調を崩したくない」

考えない訳がありません。プロのスポーツ選手が体調に気を使わない訳はないし、食べ物だけでなく水にも注意するのも当たり前です。柴崎選手は代表経験もあるため、その辺は充分理解しているはず

「テネリフェ島の水が薬の匂いがきつく吐き気がするくらいひどい」との情報もありましたが、それって調べれば行く前から分かる話ですよね?大変ですが生活に必要な水を全てミネラルウォーターにする事も出来るはずですし、私も実際そのような経験もありますが対応しました。

今まで日本人選手が何人も海外移籍しているなか、ほとんどそのような情報が流れた事はないですし、アジアやヨーロッパ諸国に行った事のある私でも体調管理は「最低限気をつけること」というのは常識です。

 

では、なぜ体調を崩したのか?

プレッシャーからくる不安障害

不安障害は、全般性不安障害、特定の恐怖症、およびパニック障害に分けられ、各々が特徴と症状を持ち、異なる治療を要する。不安障害が発現させる感情は、単なる緊張から恐怖による発作までにわたる

Wikiでは不安障害はこのように説明されています。

私はプロのサッカー選手でもメディアに騒がれる有名人でもないので、「気持ちを100%理解出来る」とは言えません。

しかしながら、今までサッカー選手として鹿島でプレーし、クラブW杯の大舞台でレアルマドリー相手に2得点を上げる目覚ましい活躍をしながら、スペイン2部挑戦のプレッシャーに押しつぶされるとも到底思えません

言語能力不足による不安障害

一番可能性が高いのはこのスペイン語や英語の言語能力(コミュニケーション能力)不足が引き金になった不安障害です。

実際に2月10日に地元紙「デポルプレス」で監督がこのように語っています。

“entrenó un poco con nosotros ayer por la tarde, pero se ha levantado con malestar hoy” “un proceso de adaptación, no se siente bien, con problemas estomacales. Cuando se incorpore que lo haga de la mejor manera”

Por todo ello el club se ha volcado con el recién llegado, que no puede comunicarse todavía con normalidad con sus compañeros y cuerpo técnico, al no manejar el inglés y, ni mucho menos, el español.

胃の問題ではなく、適応の問題だ。」またデポルプレス紙も「スペイン語や英語が使えない為にチームメイトやスタッフとコミュニケーションがうまくとれていない」と指摘しています。

私も海外生活経験があるので、少なからずその気持ちは分かります。

 

「語学はほぼ分からない、知人も一人もいない、助けてくれる人もいない」

 

この状況は、海外に一人で飛び込んだ人にしか理解出来ない環境でしょう。移住当初は塞ぎがちになる人も確かにいます。

  • サッカーしたいなぁ。どこで出来る?何時まで?
  • お腹すいたなぁ。スーパー行っても言葉分かんない、レストランも注文出来ない。
  • ホテルの部屋にいるだけでもルームサービスやシーツの交換など、いろいろな喋る環境がある。
  • 気晴らしにPC使いたいけどどうやって使うのか?携帯買いたいけど契約とか分からない。

細かくあげたら切りがありません。スポーツ選手で、生活がストイックなら尚更です。

「スペインの生活リズムが違う」などの報道も出ましたが、リズムが違うからではないのです。「水質」のせいでもありません。回りのせいにしてはいけません。自分のリズムを作る事すら出来る言語力がないだけです。

海外旅行程度では分からない「どんな些細なことでもコミュニケーションが取れないだけで普段感じた事のないストレスを引き起こす」事になるのです。

2月14日、グラナダ戦後エイバルの乾 貴士選手が言った

「心配ですね。ただ、これを乗り越えればまた強くなると思いますし、やはりこういう経験は日本じゃできない。それは海外に一歩踏み出したからこそできること。あとは自分次第。チームメートも“助けてあげたい”とコメントをしている記事を読んだし、いいチームだと思う。“助ける”と言ってくれる時点で、いい奴はいるので、甘えたらいいんじゃないかと思います」

これは本当に正しいアドバイスだったのではないでしょうか。それから5日後の2月19日、テネリフェ女子チームに所属する日本人MF堂園選手とツーショット写真が公開されました。

柴崎選手は、プライドが高く自分で何とかしようとしたところを乾選手のアドバイスで、自発的なのか受動的なのかは分かりませんが堂園選手に助けを求めた形でしょう。

柴崎選手は何故スペインにこだわったのに準備不足になってしまったのか?

不安障害に陥った理由はそれなりに、想像がつきますが「何故準備不足になったのか?」という疑問が残ります。

  • 移籍可能なクラブの中でもあえてスペイン2部を選ぶ程、スペインにこだわった
  • コミニュケーションとる努力をしたのか
  • スペインの地方環境、2部チームの環境をどこまで理解していたのか

 

ドイツのクラブ等環境的にも良いであろうクラブではなくスペイン(しかも2部)を選ぶぐらいなので、スペインへの憧れが強いのは今までの経緯で憶測出来ます。では、なぜスペイン語を少しでも覚える努力をしなかったのか?海外志向が強いなら英語を今まで勉強していたのか?

これは「たいして勉強していなかった」というのが入団会見動画を見ても分かりました。

経験上、スペイン人は他のヨーロッパ諸国と比べても比較的陽気な性格で、コミュニケーションは取りやすい。しかし、他ヨーロッパ諸国に比べ英語を喋れる人が少ないのも特徴。ですがスペイン語が喋れないなら英語が少しでも喋れた方が断然コミュニケーションで差が出るので自分のストレスも軽減出来る。

マドリードやバルセロナなどの大都市と違い地方の人はよりコンサバティブだが、スペイン語を少しでも話そうと努力する人には優しく手を差し出してくれる傾向がある。それがサッカー選手なら尚更。

 

少しでも「サッカーがうまければ何とかなる」など気持ちがあった場合は地方の2部チームで通用するのが難しいのは容易に想像出来る

 

日本でもヨーロッパでも2部の試合を何度か見た事はあるが、全く別物です。

サッカー感が違い、意思疎通もままならず、サッカーをする環境も違い、契約期間も半年。「失敗を恐れずがむしゃらにサッカーを楽しむ!」ならまだ良かったのだが、ストレスからそこにすら辿り着くのに時間がかかっている。

 

この「不安障害」の原因が明確でない為あくまでも憶測な域を出ない話ではあるが、「精神的にまいっている」=「かわいそう」「心配だ」と、メディアによってオブラートに包まれているが、実際SNSなどの一般のコメントを見ていると「そんな弱いとは思わなかった」「がっかりだ」という論調が目立ち、中には「高校時代先輩を殴ったぐらいだからもっとタフだと思ったのに」具体的な内容も目に留まる。

私も「気合いが足りない」など昔ながらの根性論は大嫌いだが、柴崎選手の今までの情報を見る限りでは「理想や目標だけ先走り準備不足から不安に陥った空回り状態」だと言わざるを得ない。

Photo credit: Norio.NAKAYAMA via Visualhunt / CC BY-SA

中田英寿さんが高校時代からイタリア語を習得するために一生懸命勉強していた事は有名な話ですがサッカーのプレイだけでなく、堅実に

「何が本当に必要なのか」

を見極める目にも長けていたことも成功に繋がった要因の一つだったのでしょう。

後記

1サッカーファンとして、もちろん柴崎選手には活躍を期待しています。

しかしながら、行き当たりばったりやノリではなく、本当に何が必要でその成功の為にはしっかりとした準備をしなければならないのが見えてくるはずです。

メディアの表面だけの情報だけでは分からない、そういった現実の状況も理解していく必要があるでしょう。

海外日本人選手デビュー戦参考情報

本田圭佑

2008年1月20日 会見直後のPSV戦で後半から出場

香川真司

2010年8月22日 第1節 対バイヤー・レバークーゼン戦

長友佑都

2010年8月28日シーズンの開幕戦アウェイ ローマと対戦スタメンフル出場。

岡崎慎司

2月6日 岡崎がシュツットガルトの練習に初合流。

2月12日岡崎はデビュー戦となるはずだったニュルンベルク戦をスタンドで観戦

2月17日ヨーロッパリーグのベンフィカ(ポルトガル)戦でデビュー

内田篤人

2010年7月12日に渡欧して正式契約を結び、15日からのシャルケのオーストリア合宿に合流。8月21日ハンブルガーSV戦の後半14分から途中出場。

長谷部誠

練習試合で痛めた左ひざの影響で1月30日のドイツ・カップ3回戦のシャルケ戦にベンチ入りせず、公式戦デビューは2008年2月3日ビーレフェルト戦。

大迫勇也

2月10日、デュッセルドルフ

武藤嘉紀

9日DFBポカール1回戦エネルギー・コットブス(3部リーグ)70分途中出場。

酒井高徳

2月11日ホームのヘルタ戦で左サイドバックとしてフル出場

酒井宏樹

8月23日ブンデスリーガ第4節ホッフェンハイム戦74分に途中出場しブンデスリーガデビューを果たした。

吉田麻也

VVVフェンロ移籍が内定し練習に合流していたが 、1月10日のMVV(オランダ2部)との練習試合で左足の中指を骨折。オランダで手術を受けたが、左足甲を骨折し日本で再び手術を行った。古巣・名古屋でリハビリに励み再渡欧。10月14日にようやく全体練習に合流。

10月30日のフローニンゲン戦(ホーム)に、センターバックでなく守備的MFとして後半30分からプレー。

乾貴士

8月12日第4節ホーム ザンクト・パウリ戦トップ下でフル出場

川島永嗣

7月17日 リールセ ハイストと0-0のドロー

原口元気

16日に行われたDFBポカールの1回戦ヴィクトリア・ケルン戦

ハーフナー・マイク

第18節ホームでNECと対戦後半28分にマイクがピッチへ送られた。

宇佐美貴史

7月20日、プレシーズンマッチマインツ戦でスタメン出場し、後半19分までプレー。

南野拓実

2月14日、リーグ戦第20節のSCウィーナー・ノイシュタット戦で右MFとして先発デビュー。

久保裕也

7月13日のスイス・スーパーリーグ第01節、ヤング・ボーイズ対FC シオン75分から途中出場。

小林祐希

9月10日のエールディヴィジ第5節FCトゥウェンテ戦でオランダデビュー

柴崎岳

未定。3月末には公式戦デビューできるのではないかと予測されている。

3/19 リーガ・エスパニョーラ2部第30節 レウスをホームに迎え、0-1の完封負け。柴崎は後半29分にスペインデビューを果たした。

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